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レポート

剱岳 北方稜線

剱岳 北方稜線

2025年10月6日(月)~9日(木)の3泊4日の日程で奥劔から剱岳の北方稜線を登ってきました。北方稜線は剱岳山頂から北に伸びる稜線で、連続する険しい岩場、雪渓の登り下りと登山の総合的な力を必要とする高難度のバリエーションルートです。当初心配していた雨は降らず、素晴らしい紅葉の山を楽しみながら、充実したバリエーション山行が出来ました。

【コース】
1日目:室堂…雷鳥沢…剱御前小舎【泊】
2日目:剱御前小舎…剱澤小屋…長次郎出合…真砂沢ロッジ…二股吊橋…仙人峠…仙人池ヒュッテ…池ノ平小屋【泊】
3日目:池ノ平小屋…小窓雪渓…小窓…小窓の王…三の窓…池ノ谷ガリー…池の谷乗越…剱岳山頂…前劔…一服剱…剣山荘…剱御前小屋【泊】
4日目:剱御前小屋…みくりが池温泉…室堂

【担当ガイド】
・小暮洋一
・須永栄信

初日、室堂から剱御前小屋まで

剱岳 北方稜線

お昼に立山の室堂に集合したときには、心配していた雨も降らず、うれしいことに青空が広がりました。

剱岳 北方稜線

今日の泊地である剱御前小屋に向かいます。雷鳥沢に下っていくと、立山らしい美しい草紅葉が広がります。イワイチョウの黄色、チングルマの赤のコントラストが天然の絨毯となって山裾まで広がっていきます。今年の紅葉は当たり年のようですね。

剱岳 北方稜線

雷鳥沢に下ってから雷鳥坂を登りきると別山乗越に建つ剱御前小舎に到着です。ここまで来ると剱岳の姿を見ることが出来ます。今日の行動はここまで。剱御前山に登ったりしながら夕食を待ちました。

剱岳 北方稜線

大日岳の向こうに夕陽が落ちていきます。雲海と滝雲がとてもきれいでした。明日はいよいよ奥劔までのトレッキングです。

2日目は奥劔までのトレッキング

剱岳 北方稜線

7日(火)の朝、ガスの中を出発です。今日も雨の心配はなさそうです。剱沢に向かって下ります。

剱岳 北方稜線

剱沢キャンプ場の手前まで下ると、ガスが切れて、朝陽を浴びる剱岳の姿が見えて来ました。紅葉を纏う剱岳はとてもきれいですね。

剱岳 北方稜線

剱澤小屋のすぐ横にある「六字塚」と呼ばれる慰霊碑に立ち寄り、剱沢小屋雪崩事故の話を聞きました。1930年に帝大0Bら6人が大規模な雪崩に遭い遭難した事故で参加パーティー6名全員が亡くなったとのことです。

剱岳 北方稜線

さらに剱沢を下っていきます。源次郎尾根、八ッ峰がとてもきれいですね。

剱岳 北方稜線

日本三大雪渓の一つである剱沢雪渓の右岸を通過していきます。この時期は融雪が進み、雪渓は歩けません。右岸はスラブ状の岩場が多く、注意が必要です。

剱岳 北方稜線

長次郎出合で雪渓を左岸に渡ります。短い距離ですが、アイゼンを装着しました。

剱岳 北方稜線

長次郎出合から1時間足らずで真砂沢ロッジに到着しました。腹ごしらえをして、二股吊橋を目指します。

剱岳 北方稜線

真砂沢ロッジから二股吊橋までは、南股の左岸を進みます。ルートには水が多く靴が濡れます。

剱岳 北方稜線

ちょっとしたアクティビティもあって。。。

剱岳 北方稜線

真砂沢ロッジから1.5時間程度で二股吊橋に到着。ここから先は沢に別れを告げて仙人山から派生する尾根(仙人新道)の急登です。

剱岳 北方稜線

仙人新道の急登の左手に、山の窓雪渓が見えてきました。山の窓雪渓も、次に現れる小窓雪渓も氷河です。明日登る北方稜線が聳えています。

剱岳 北方稜線

仙人峠から仙人池ヒュッテに向かう途中に、これまでに見たこともない大きさのベニテングダケがありました。笠の直径は20センチはあるでしょう。

剱岳 北方稜線

剱岳の八ツ峰は残念ながら仙人池には映りませんでしたが、紅葉の奥劔の美しは十分に味わうことが出来ました。

剱岳 北方稜線

仙人池ヒュッテから仙人峠に引き返し、池ノ平小屋に向かいます。

剱岳 北方稜線

仙人山と池平山の間に池ノ平小屋が見えてきました。

剱岳 北方稜線

池ノ平小屋に到着。作業をしていた主人と記念撮影をしました。池ノ平小屋は、かつてモリブデン採掘で賑わった小黒部鉱山跡地にあります。到着後すぐにお風呂を使わせていただくことが出来て大満足でした。美味しい夕食をいただき(なんと栗ご飯!)、明日の本番に備え、早めに就寝です。

北方稜線を登って剱岳へ

剱岳 北方稜線

お弁当にしていただいた朝食をいただき、朝4時に小屋を出発しました。小屋のスタッフの皆さんがお見送りしてくれました。

剱岳 北方稜線

旧鉱山道を小窓雪渓に向けて進みます。雪渓に乗るにはザレ場を下らなければなりません。

剱岳 北方稜線

小窓雪渓まで下りました。アイゼンを装着して雪渓を小窓まで登り詰めます。

剱岳 北方稜線

スプーンカットを利用して、慎重に登ります。

剱岳 北方稜線

小窓からは小窓の頭を巻くように小窓の王まで進みます。ガスがかかっているため、ルートをロストしないように歩きました。

剱岳 北方稜線

ガレ場が多く、落石を起こさぬように注意していても足元がガラガラと崩れます。

剱岳 北方稜線

大きな岩峰の「小窓の王」を通過します。

剱岳 北方稜線

三の窓から発射台をやり過ごし、池ノ谷ガリーに向かいます。

剱岳 北方稜線

池ノ谷ガリーが見えてきました。左側からジャンダルムの下に出てガリーの左端を登っていきます。チンネと池ノ谷の頭はガスの中です。

剱岳 北方稜線

壁とフィックスロープを利用しながら足元を崩さぬように登ります。ここを下るのは遠慮したいところですね。

剱岳 北方稜線

池ノ谷乗越から、長次郎ノ頭に向けてアップダウンを繰り返しました。時折太陽がぼんやりと現れますが、なかなか視界が開けませんでした。

剱岳 北方稜線

長次郎のコルから登り詰めて、やっと剱岳山頂に到着です。スタートしてから8時間が経過していました。

剱岳 北方稜線

山頂で腹ごしらえして、一般ルートで下山しました。ここまでくれば豊富な鎖を頼りに下りることが出来ます。

剱岳 北方稜線

下山を始めると、雲がどいて、眼下に雲海が広がりました。

剱岳 北方稜線

遥か後立山連峰も色づいた姿を見せてくれました。・・・いつもなら剣山荘に泊まりますが、もう今年の営業は終了。頑張って剱御前小舎まで歩きました。今日の歩程は12時間強。よく歩きました。

最終日 室堂へ

剱岳 北方稜線

最終日の朝は小屋で朝食をゆっくりいただきました。今日もいい天気です。剱岳をバックに記念撮影をして下山です。

剱岳 北方稜線

晴れ渡る青空と立山の紅葉に癒されつつ、昨日までの山行を思い出しながらゆっくりと歩きました。3泊4日の長い山行でしたが、奥劔の魅力をたっぷりと堪能できた山旅になったと思います。

※事務局より
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