menu
レポート

表銀座大縦走

表銀座大縦走

2025年9月12日(金)~15日(月)の3泊4日の日程で表銀座の縦走をしてきました。表銀座は、北アルプスの中房温泉を起点とし、燕岳、大天井岳を経て、東鎌尾根の「喜作新道」を通り槍ヶ岳へ至る人気の登山コースです。晴れていれば、槍ヶ岳を眺めながら目指すことが出来るルートとなるのですが、2日目の午後からは降雨となり、3日目の槍ヶ岳登頂は断念せざるを得ませんでした。それでも当初の目的の一つである表銀座縦走を無事果たすことが出来たのは良かったと思います。

【コース】
1日目:中房温泉…合戦尾根…合戦小屋…燕山荘【泊】
2日目:燕山荘…大下りの頭…切通し…大天井岳…大天井ヒュッテ…喜作新道…ヒュッテ西岳…水俣乗越…東鎌尾根…ヒュッテ大槍…殺生ヒュッテ【泊】
3日目:殺生ヒュッテ…槍沢…槍沢ロッジ…横尾…徳沢ロッヂ【泊】
4日目:徳沢ロッヂ…明神…右岸経由…上高地

【担当ガイド】
・須永栄信

1日目:中房温泉から合戦尾根を登る

表銀座縦走

9月12日(金)、午前中に大糸線穂高駅に集合し、バスで中房温泉に向かいました。4月発生した道路の路肩崩落による通行止めは、関係者様の努力で8月には解除されて無事通過することが出来ました。雨が降りそうな気配でしたので、ザックカバーを付けレインウエアを着て12時過ぎに出発しました。

表銀座縦走

北アルプスの三大急登のひとつといわれる合戦尾根をひたすら登ります。合戦尾根の由来は、桓武天皇の時代に坂上田村麻呂が鬼を退治した際に合戦が繰り広げられたことにちなんでいます。出発して2時間半で合戦小屋に到着。今日の目的地である燕山荘へはあと少しです。

表銀座縦走

合戦小屋からの急登を登りきると、明日歩く大天井岳への稜線の向こうに槍ヶ岳が見えました。明日も見えるといいなと思いながら写真を撮りましたが、結局槍の穂先が見えたのは、この瞬間だけでした(残念T_T)。

表銀座縦走

出発して4時間弱で燕山荘に到着です。燕岳は雲の中でした。時間も4時を過ぎていましたので今日はこのまま小屋で休むことにしました。燕岳はまたの機会に。

2日目:表銀座縦走 燕山荘から殺生ヒュッテまで

表銀座縦走

2日目、いよいよ表銀座縦走のスタートです。燕山荘でお弁当を作っていただき、5時に小屋を出発しました。湿っぽいガスに包まれ、少し冷え込んでいます。

表銀座縦走

燕山荘から30分ほど先にある蛙岩(げえろいわ)付近。

表銀座縦走

時折雲が切れ、合戦尾根、有明山が見えました。有明山は常念山脈の前衛峰で信濃富士呼ばれ、長野の郷土富士として親しまれています。

表銀座縦走

裏銀座縦走コースから水晶岳、鷲羽岳、さらには槍ヶ岳に続く稜線も雲の中でした。この展望が表銀座の醍醐味の一つですが、残念ながらその景色を楽しむことは出来ませんでした。

表銀座縦走

縦走路にはコマクサの群生地も広がっています。登山道を外れないように歩きます。

表銀座縦走

大下りノ頭から下り始め、切通し岩に下りると小林喜作のレリーフがありました。小林喜作は安曇野出身の猟師・山案内人で、大天井岳から槍ヶ岳に直接至る東鎌尾根に喜作新道を開設した人物として知られています。その喜作新道の起点となる大天井岳に向かいます。

表銀座縦走

大天荘までの登りでライチョウに遭遇。天気が悪いと出会う確率が上がります。

表銀座縦走

大天荘に荷物をデポして大天井岳に登りました。時折視界が開けますが、強い風がすぐに雲を運んできてしまいます。日本百名山である大天井岳(おてんしょうだけ)は常念山脈の最高峰で標高は2,922 メートルあります。

表銀座縦走

大天荘で休憩後、大天井ヒュッテに向けて下降します。

表銀座縦走

大天井岳の南側をトラバースするように回り込み、40分ほどで大天井ヒュッテに下りました。時折雨が降っていますが、レインパンツを履くほどではありません。ここから次の中継地点であるヒュッテ西岳まで、約3時間の喜作新道の歩きとなります。

表銀座縦走

右手に北鎌尾根が大きく見えてきました。その先にある槍ヶ岳も雲の中です。

表銀座縦走

大天井ヒュッテからヒュッテ西岳までは、登り基調のアップダウンが続きます。

表銀座縦走

燕山荘を出発して約7時間。ヒュッテ西岳に到着しました。ここで昼食を兼ねた休憩をとりました。とはいえ、目的地の殺生ヒュッテまではまだ3時間以上かかりますので、ゆっくりすることは出来ません。雨足が次第に強くなってきました。ここから表銀座の難所になっていくので、さらに注意をして歩きます。

表銀座縦走

西岳から水俣乗越までも鎖場や梯子が多く、気が抜けません。横風に煽られないように細い稜線を歩きます。

表銀座縦走

水俣乗越に到着しました。水俣乗越は槍沢側に乗越沢を下りれば、槍沢ルートの大曲りに出ます。反対側に下りると北鎌尾根へのルートとなりますが、もちろん一般ルートはありません。ちなみに、水俣乗越は「みずまたのっこし」が正式名称のようですね。

表銀座縦走

下方に槍沢が見えてきました。奥の河原はババ平のキャンプ地でしょうか。

表銀座縦走

東鎌尾根は、長いハシゴや鎖の連続です。いくつものピークを登り下りし、また巻ながら、槍ヶ岳に向けて高度を上げていきます。雨で濡れたハシゴや階段をゆっくりと通過しました。

表銀座縦走

ガブリ岩をすり抜けるとあとひと登りでヒュッテ大槍に到着です。皆さん、そろそろ疲れてきた頃です。もう一度、足元に集中です。

表銀座縦走

ヒュッテ大槍はパスして、ようやく殺生ヒュッテに到着です。出発して10時間半。皆さん、よく歩きました!雨は思った以上に強くなりました。予想より雨雲が早めに来てしまったようです。

※殺生ヒュッテも小林喜作が開業した小屋です(開業時は殺生小屋)。このエリア(槍沢から槍ヶ岳のカール一帯)が狩猟の場であったことが小屋の名前の由来とのことです。

3日目:殺生ヒュッテから徳沢ロッジまで

表銀座縦走

3日目の朝、槍ヶ岳登頂の予定でしたが、強い風雨のため、登ることは断念して下山することとしました。長い時間とどまると沢の増水も懸念されるため、早めの下山が得策という判断です。朝食を小屋でいただき、準備出来次第、下山開始です。昨日歩いた東鎌尾根から幾筋もの滝が見えます。

表銀座縦走

槍沢に注ぐ沢はいつもより水量がありますが、ほぼ問題なく渡ることが出来ました。

表銀座縦走

それでも、水量は多く、降水量の多さを物語っています。

表銀座縦走

雨は降ったり止んだりを繰り返し、結局レインウエアを脱ぐことはありませんでした。

表銀座縦走

下山を開始して約6時間で徳沢に到着。徳沢に着く頃にようやく雨が上がりました。徳沢園で昼食をとり、この山行の最終泊地となる徳沢ロッジにチェックイン。雨の中の下山、お疲れ様でした。

表銀座縦走

徳沢ロッヂの食事は夕食も朝食も素晴らしく、大変美味しくいただけました。また、お風呂もあるので、冷えたからだを温められ、長かった山行の疲れをしっかりととることが出来ました。

4日目:徳沢から上高地へ

表銀座縦走

最終日は晴れ。朝食後、上高地までの2時間余り時間をかけて梓川右岸をゆっくりと歩きました。今回は曇りと雨中の山行なり、槍ヶ岳にも登ることが出来ませんでしたが、無事に表銀座を歩き通すことが出来たのは良かったのではないでしょうか。またいつか、晴れたときに、コマクサと槍ヶ岳を眺めに訪れたいと思います。

※ダンプリングでは少人数でのグループイベントもお引き受けいたします。気心の知れたお友達同士だけのグループ山行をダンプリングのガイディングでお楽しみください。ご希望の山域がございましたらお気軽にご相談ください。