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レポート

黒部川源流域縦走~双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳

黒部川源流域縦走~双六岳・三俣蓮華岳・鷲羽岳

8月10日~12日の2泊3日で、北アルプス最奥の山域を縦走してきました。当初の計画では、水晶岳を含む縦走路を計画していましたが、宿泊先などの関係で計画を変更し、双六岳、三俣蓮華岳、鷲羽岳の3つのピークハントを含む縦走としました。天気予報では雷の心配もあったのですが、3日間ともに安定した天候に恵まれ、夏の縦走を満喫することが出来ました。

【コースタイム】
1日目
7:00新穂高温泉…8:20わさび平小屋…12:15鏡平…13:50弓折乗越…15:10双六小屋【泊】
2日目
05:00双六小屋…6:20双六岳…8:00三俣蓮華岳…9:20三俣山荘…11:00鷲羽岳…12:10三俣山荘…16:00双六小屋【泊】
3日目
05:30双六小屋…6:50弓折乗越…7:30鏡平…11:00わさび平小屋…12:00新穂高温泉

【担当ガイド】
・須永栄信

初日

新穂高温泉にある新穂高センターに集合

8月10日(土)、新穂高温泉にある新穂高センターに集合。新穂高センターは、北アルプス山岳遭難対策協議会と岐阜県警察本部により運営されている登山指導センターがあります。また公衆トイレなどもあり、飛騨側にある北アルプス・穂高連峰の登山拠点です。ここで準備をして、7時頃、わさび平に向けて出発です。

わさび平小屋

わさび平小屋までは緩い勾配の林道を1時間ほど歩けば到着します。林道を挟んで小屋の前を流れる川にはわさびが自生していました。水分を補給して、小池新道登山口まで歩みを進めます。

小池新道

小池新道は、双六小屋の経営者であった小池義清氏によって開かれた登山道で、新穂高温泉から双六小屋を経由し裏銀座へ接続します。急登個所は多くはないのですが、長い登りが体力を奪いますので、途中で適宜休息をとることが必要です。

秩父沢に到着

小池新道登山口から1時間ほどで秩父沢に到着しました。秩父沢は枯れることのない沢で、多くの方が冷たい清流を利用してからだを休めていました。

鏡平に到着です

小池新道をさらに2時間半以上登り、鏡平に到着です。穂高連峰は雲の中でしたので、鏡池には山並みは映りませんでした。帰りに期待。

鏡平小屋でかき氷

鏡平小屋で、かき氷を食べてしばし休憩。鏡平小屋から弓折乗越まであと一息です。

弓折乗越に着きました

鏡平から約1時間で弓折乗越に着きました。弓折乗越は、笠ヶ岳から抜戸岳、弓折岳、双六小屋へと続く稜線上にある分岐点です。ここに登れば後は稜線のアップダウンだけです。

黒部源流域の夏の花々

初夏の花々は咲き終わっていましたが、夏の花々が目を楽しませてくれます。

黒部源流域にある双六小屋

弓折分岐から1時間と少し、アップダウンを繰り返し、目前のピークを左に巻くと左手に広い谷が広がり、その奥に双六小屋が見えました。やっとの思いでここまで来た、という感じです。

双六小屋は双六岳と樅沢岳のコルの部分に建てられています

新穂高温泉を出発してから8時間の歩程で双六小屋に到着です。双六小屋は双六岳と樅沢岳のコルの部分に建てられています。ここから、裏銀座、槍が岳、折立、雲ノ平へとつなぐことが出来るので、まさに縦走路のターミナルのような山小屋といえるでしょう。

双六小屋の食事

初日の夕食は天ぷらでした。丁寧に作られ、きれいに盛り付けされている食事は、小屋のホスピタリティを感じさせます。

2日目

双六小屋の日の出

2日目の朝を迎えました。長い縦走の始まりです。朝食後、燕岳方面から登るご来光を眺めてから、この縦走の主目的である双六岳に向けて出発しました。

黒部源流域の双六岳

双六岳は、小屋の裏手から登れます。山頂へ続く稜線が朝陽を浴びていました。

双六岳へ登山

双六小屋から双六岳へは、稜線ルートを登ります。高度を上げると、後方に穂高連峰が見えてきました。

黒部源流域の風景

短い急登を抜けると、天空の滑走路と言われる台地が広がります。滑走路の先には、槍ヶ岳から西穂高岳まで、穂高連峰の大パノラマが広がります。

黒部源流域から槍ヶ岳を見る
双六岳山頂

小屋から1時間足らずで山頂に到着しました。笠ヶ岳へ続く稜線、焼岳、乗鞍岳をバックに記念撮影。

俣蓮華岳に到着です

双六岳をあとにし、1時間と少しの稜線歩きで三俣蓮華岳に到着です。こちらも双六岳と同様、360度の大展望です。

薬師岳と雲ノ平、祖父岳、水晶岳が見えます

薬師岳と雲ノ平、祖父岳、水晶岳が見えます。

黒部五郎岳から北ノ俣岳

黒部五郎岳から北ノ俣岳、太郎平に続く。歩いてみたくなります。

三俣山荘へ向けて出発

展望を満喫したあとは、三俣蓮華岳を下り、三俣山荘へ向けて出発です。

黒部源流域の鷲羽岳

三俣山荘へはテント場を抜けていきます。山荘の先に鷲羽岳が聳えます。山の日だけあって、テント場は満杯です。

三俣山荘

三俣山荘へは、三俣蓮華岳から1時間程度で到着しました。水分補給をして鷲羽岳に登ります。

鷲羽池と槍ヶ岳

三俣山荘から鷲羽山頂までは約400メートルの登りです。ザレ場の急登を下りの方と譲り合いながら登ります。途中、鷲羽池と槍ヶ岳の絶景を見ることが出来ました。

鷲羽岳山頂

登り始めて約1時間半で山頂に到着しました。ここからは、野口五郎岳など裏銀座の山々、燕岳から表銀座の稜線が見えました。

美しい黒部源流域

鷲羽岳から眼下に広がる景色は北アルプス最深部の美しさと言ってよいでしょう。

黒部源流域の登山道

鷲羽岳から三俣山荘に戻り、山荘で昼食をとりました。山荘から往復2時間で黒部川源流の碑を見ることが出来るのですが、双六小屋への帰りが17時近くになることからあきらめて戻ることにしました。双六小屋への戻りは、いったん三俣蓮華岳への分岐まで戻り、巻道ルートを歩きます。午前中に歩いた稜線を右手に見ながら約2時間歩きました。

双六小屋の夕食

11時間の縦走を終え、小屋に着いたときは16時を回っていました。よく歩いたと思います。明日は、午後から天気が崩れる予報でしたので、昼までに新穂高温泉に着くように早めに出発する予定です。

3日目

晴天の黒部源流域

朝食後、双六小屋をあとに、来た道を戻ります。来たときは見えなかった鷲羽岳が双六小屋の向こうに見えました。名残惜しい景色でした。

クロユリ

くろゆりベンチのクロユリ。

弓折乗越の景色

弓折乗越の景色。眼下に鏡平小屋が見えました。

鏡池

帰りの鏡池には、しっかりと槍ヶ岳が水面に映りました。

小池新道

小池新道は、下りは比較的楽です。整備されている登山道という印象を受けました。

わさび平小屋のそうめん

11時過ぎにわさび平小屋に戻ってきました。来た時から気になっていた「そうめん」をオーダーして昼食です。そして、さらに1時間ほど林道を歩き、新穂高温泉に到着。3日間の長い縦走を無事終えることが出来ました。今回は、水晶岳と黒部源流には行けませんでしたが、次回の楽しみにしたいと思います。