まだ小雨の落ちる中、7時半に上高地インフォメーションセンターを出発。初日は涸沢ヒュッテまでの行程なので、ゆっくりと歩きはじめます。明神に着くころには雨はほぼ上がりました。徳澤ロッジで休憩をとり、上高地「再生と安全」プロジェクト事業に伴う左岸通行止めのため右岸を横尾まで。本谷橋を過ぎると、クロバナエンレイソウやコイワカガミ、サンカヨウの花々が目を楽しませてくれました。Sガレ付近から雪の上を歩くようになります。アイゼンを付ける必要はありませんが、ルートを決めて、滑らないようにゆっくりと歩きました。そして14時過ぎに涸沢ヒュッテに到着。雲は次第に切れだし、穂高の全景が静かに広がりました。

6月24日（土）、ヒュッテで用意していただいたお弁当をザックにしまい込み、5時過ぎに出発です。まずは、5.6のコルを目指します。それぞれ軽アイゼン、チェーンスパイクを装着して、ゆっくりと高度を上げていきます。前歯がないと滑る雪面なので、ピッケルを使って体勢を保持しながらに登ることが肝心です。

2時間弱のアプローチで、5.6のコルに到着です。目の前に5峰が聳えています。ここでお弁当をひろげ、朝食をとってからハーネスを装着するなどの準備に取りかかりました。

北尾根からでしか見られない景色はとても素晴らしいものでした。下方に涸沢小屋、北穂高岳の向こうに槍ヶ岳が望めます。貸切の尾根では景色をながめつつ、自分たちのペースで歩くことが出来ます。

4峰を登ると目の前にドーンと3峰が現れます。クライムダウンして、3峰を見上げながらしっかりと休憩をとりました。3峰はクライミングの要素が強く、ロープを積極的に出し、ピッチを切って登ります。3峰の登りが北尾根のハイライトと言ってよいかもしれません。ロープをつなぎ合い、スタカットで登攀のスタートです。

3峰を登り切ったときは結構疲れましたが、その達成感はひとしおでした。素晴らしい景色を堪能しながら2峰へ登り、懸垂下降で1峰の基部に下ります。ここでロープをほどき、いよいよ前穂高岳山頂です。

下山は、今日の宿泊地である岳沢小屋へ、重太郎新道を下ります。重太郎新道の下りはさすがに疲れましたが、ミヤマキンポウゲや、咲き始めたハクサンイチゲが疲れた心を癒してくれました。