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レポート

【スキルアップを目指す!】残雪の富士山

【スキルアップを目指す!】残雪の富士山

6月10日(土)~11日(日)の1泊2日の日程で、富士登山に行ってきました。富士山は7月1日から8月31日の2ヶ月間が一般的な登山シーズンですが、6月はまだアイゼンやピッケルが必要な雪山です。今年も雪が少ないといわれていますが、八合目より上はなお残雪におおわれていることでしょう。梅雨時期に入り、週末の天候が不安定な状況でしたが、スキルアップを目指すことがこの登山のテーマでもありますので、雨対策もふくめ、しっかりと準備をして実施することとなりました。

【行程】
集合:富士山駅 9:30 登山バスにて富士スバルライン五号目
1日目:富士スバルライン五合目…佐藤小屋
2日目:佐藤小屋…富士山…富士スバルライン五合目 

【担当ガイド】
・小暮洋一
・須永栄信 他

ガイドも含め総勢8名の参加者は、9時30分に富士急の富士山駅に集合しました。ここから、登山バスで富士スバルライン五合目に移動し、11時に佐藤小屋に向けて出発しました。初日は佐藤小屋宿泊のみで、翌日の早朝に登山スタートの予定ですが、日曜日の天候の状況が不透明なので、登山のスタート時刻は流動的です。本格的な富士山の山開きは7月1日ですので、まだ閉まっているゲートの脇をすり抜けて佐藤小屋を目指しました。天気は晴れてはいませんでしたが、富士登山競争の練習なのでしょうか、トレラン姿の方が目立ちました。

40分弱歩いて佐藤小屋に到着です。佐藤小屋は海抜2,230mに位置し、富士吉田ルートの起点ともなる小屋としてシーズン中は多くの利用者で賑わいます。今回は、オーナーのご厚意により宿泊できることとなりましたが、開山前ということもあり、貸切状態の宿泊となりました。

小屋でひと休みしたあと、下見と高度順化を兼ねて、六合目~七合目付近まで歩きました。吉田ルートは、北口本宮冨士浅間神社を基点に山頂まで通じる吉田口登山道を、五合目(または六合目)から登るルートで、富士登山者の半数以上が利用する人気ルートです。森林限界を超えると富士山特有の砂礫の登山道となります。雨になると崩落を繰り返す富士山の山肌の荒涼とした迫力を感じながら、登山道と下山道の分岐付近まで歩きました。高曇りの天候でしたが、眼下には雲海が広がり、気持ちのよい下見となりました。砂礫に咲く固有種のフジハタザオが印象的でした。

日曜日の天気予報の状況が変わらず、深夜には荒天が予想されるとのことで、出発時間を早め、土曜日の23時にスタートすることとなりました。(アルコールのない!)夕食をすませ、仮眠をとってからスタートです。ハーネスなど出発前に装着し、行動中の時間に無駄のないようにします。

23時、小屋を出発。空には星が輝き、下り坂になる天候が予想できないほどです。六合目を超えると、眼下に富士吉田市の街の明かりを見ることが出来ました。遠く、東京方面の明かりが、空に映っています。

ところが、日付が変わり七合目近くなると、予報通り雨が落ち始めました。風も次第に吹きはじめ、汗ばんでいたカラダが急に冷え込み始めました。すぐにレインウエアを着こみ、防寒対策をします。また途中の小屋に到着するたびに、体調の確認を行いました。ルートは急勾配の岩場に変わり、雨で濡れた岩をヘッドランプで照らしゆっくりと高度を上げていきました。

七合目を過ぎ八合目近くになるとさらに雨脚が強くなり、時折強風も吹くようになりました。午前2時、八合目の太子館に到着しました。この先、天候の回復は見込めず、さらに急勾配のルートとなることから、下山の難しさも考慮し、撤退することとしました。普段であれば熟睡をしている時間帯で雨中の下山開始です。ヘッドランプに照らされる岩場から安全なステップを探しながら慎重に下りました。

佐藤小屋に到着するころには、ヘッドランプが無くても歩ける程度に明るくなっていました。小屋では8時に朝食を準備してくれるとのことで、濡れた装備を片付け、3時間余り眠ることにしました。みな、爆睡したようでした。

朝食には、名物の吉田うどんが出ました。雨に濡れ、疲れたからだには、大変ありがたい朝食となりました。デザートにオーナー手作りのプリンもいただくことが出来ました。今回の山行では残雪を踏むことは叶いませんでしたが、カモシカ山行ともいえる夜間登山で、悪天候の中を標高3,100mまで登ったことは、貴重な経験となったと思います。また機会があれば、残雪の富士にチャレンジしたいと思います。

※事務局より
ダンプリングでは少人数でのグループイベントもお引き受けいたします。気心の知れたお友達同士だけのグループ山行をダンプリングのガイディングでお楽しみください。ご希望の山域がございましたらお気軽にご相談ください。