【スキルアップを目指す!】残雪の木曽駒ヶ岳・宝剣岳
4月15日(土)〜16日(日)、残雪期の雪山訓練として、中央アルプスの木曽駒ヶ岳、宝剣岳を目指しました。残雪期ではありますが、まだまだ雪の多い木曽駒ヶ岳は、雪山登山のスキルアップを目指すための適地ということができます。厳冬期とは違う雪のコンディションのなか、二日間の山行がスタートしました。
【担当ガイド】
・小暮洋一
・須永栄信
初日
4月15日(土)12時00分に木曽駒ヶ岳ロープウェイ千畳敷に集合。初日は千畳敷カールを登り、宝剣山荘〜木曽駒ヶ岳に登る予定でしたが、天候は生憎の雨。南西の風も強く吹く中、まず、宝剣山荘を目指すことにしました。千畳敷カール内は軟雪で、しかも朝からの雨を含み、場所によってはかなり柔らかくなっています。一列になり先頭の踏み跡を利用してゆっくり進みました。
千畳敷カール内は雪崩の心配もあるため、危険なエリアは立ち止まらず早目に抜けます。また、この時期は落石にも注意が必要です。凍結と融雪を繰り返すことで岩が剥がされて、音もなく落ちてきます。カール内にある落石とそのトレースを確認し、周囲に注意を払いながら通過します。
二日目
二日目の朝も、強い風と雨から始まりました。天気予報では、9時頃から晴れてくるとのことでしたが、8時頃から雨は止んだものの、風は一向に収まりそうになく、朝食後、しばらく待機することにしました。空が若干明るくなり始めたので、各自準備をして山荘を出かけることにしました。二日目は宝剣岳を目指す予定です。視界もなく、見えるはずの宝剣岳もその姿はガスの中です。時折吹き付ける強い風に転ばないように慎重に歩きはじめます。
宝剣岳の鎖場が始まる手前の谷まで来ましたが、谷に落ちる雪面が一晩中の風雨にさらされ、さらに低温になったことで、完全なクラスト状態になっていました。アイゼン、ピッケルも効きづらい状態を確かめ、たとえ渡れたとしても、帰路はさらに困難になるとの判断で、やむなく引き返し下山することとしました。
宝剣岳から離れ、乗越浄土に向かう途中、ガスと強風の中に1羽、ライチョウを見ることが出来ました。中央アルプスでは数年前からライチョウプロジェクトをスタートさせていますが、乗越浄土でライチョウを見るのは本当に珍しいことです。オス1羽だけでしたが、しばらくのあいだ、ライチョウがついばむ姿をながめていました。
乗越浄土からの下山は、アイゼンも効く状態でしたが、安全のためロープを出し、50mの懸垂下降を2回行って、急斜面を通過しました。この時だけ、雲がちぎれて宝剣岳の姿を見ることができました。が、ホテル千畳敷に着く頃は完全にホワイトアウトしてしまいました。やはり早期の下山判断をしてよかったようです。