【三大岩稜】前穂北尾根
2023年6月23日(金)~25日(日)の2泊3日の日程で、前穂高岳北尾根に登ってきました。前穂高岳北尾根は日本を代表するクラシックルートのひとつで、剱岳八ツ峰、北鎌尾根とならび日本三大岩稜と呼ばれる人気のルートです。涸沢の中央に立って左側を見上げるとノコギリの歯ように連なって前穂高岳に続く峰が前穂高岳北尾根です。日ごとに変わる天気予報に一喜一憂しましたが、出発前日の22日には週末は天候が回復予想になったので、雨の東京を出発することとなりました。
【日程】
6月23日(金)上高地~徳沢~横尾~涸沢(涸沢ヒュッテ泊)
6月24日(土)涸沢~5,6のコル~北尾根~前穂高岳~重太郎新道~岳沢(岳沢小屋泊)
6月25日(日)岳沢~上高地~蕎麦集落~東京
【担当ガイド】
・小暮洋一
・須永栄信
まだ小雨の落ちる中、7時半に上高地インフォメーションセンターを出発。初日は涸沢ヒュッテまでの行程なので、ゆっくりと歩きはじめます。明神に着くころには雨はほぼ上がりました。徳澤ロッジで休憩をとり、上高地「再生と安全」プロジェクト事業に伴う左岸通行止めのため右岸を横尾まで。本谷橋を過ぎると、クロバナエンレイソウやコイワカガミ、サンカヨウの花々が目を楽しませてくれました。Sガレ付近から雪の上を歩くようになります。アイゼンを付ける必要はありませんが、ルートを決めて、滑らないようにゆっくりと歩きました。そして14時過ぎに涸沢ヒュッテに到着。雲は次第に切れだし、穂高の全景が静かに広がりました。
涸沢ヒュッテでの夕食は17時から。金曜日で天候もイマイチということもあり、ヒュッテの宿泊客は多くありませんでした。テント場も2~3張り程度で、このぶんなら明日の北尾根も他のパーティを気にすることなく登れそうです。夕食の後は、すぐに布団にもぐり込み、皆あっという間に眠ってしまいました。
6月24日(土)、ヒュッテで用意していただいたお弁当をザックにしまい込み、5時過ぎに出発です。まずは、5.6のコルを目指します。それぞれ軽アイゼン、チェーンスパイクを装着して、ゆっくりと高度を上げていきます。前歯がないと滑る雪面なので、ピッケルを使って体勢を保持しながらに登ることが肝心です。
4峰を登ると目の前にドーンと3峰が現れます。クライムダウンして、3峰を見上げながらしっかりと休憩をとりました。3峰はクライミングの要素が強く、ロープを積極的に出し、ピッチを切って登ります。3峰の登りが北尾根のハイライトと言ってよいかもしれません。ロープをつなぎ合い、スタカットで登攀のスタートです。
クライミングとしてはⅢ級の登りと思っていましたが、ルートによってはⅣ級程度の登りになり手こずる場面もありました。チムニーを抜けたり、スリングでお助けを作ってもらったりしながら、難所をクリア。途中、大きな落石を起こすこともなく、3峰を抜けることが出来ました。
13時過ぎに、前穂高岳山頂に到着です。この時は雲が上がって眺望はありませんでしたが、充実した達成感を皆で味わうことが出来ました。東京を出発するときには想像もできなかったほどの好天に恵まれ、貸切の北尾根をゆっくりと登れたことは、本当にラッキーだったと思います。